北海道内で植栽されている16年生のイチイ葉を原料とし、超臨界流体抽出は、サンプルは、イチイ葉を各100.00gを用いた。試料(100.00g)を超臨界流体抽出装置(サーモインストルメント システム社製超臨界ガス抽出スクーリング装置 X-10-05型)に付しCO_2ガスを用い、抽出圧力 50気圧、100気圧、200気圧、300気圧、抽出温度 40℃、抽出時間 2時間により抽出を行った。 また、種々のエントレーナーを用い効率的な抽出方法の検討を行った。溶媒抽出は、メタノールを用い、120時間、室温で抽出を行った。得られた抽出物についてはメタノールとクロロホルム各1mlで溶解後、高速液体クロマトグラフィーで分析を行った。 超臨界抽出において、CO_2ガスの圧力が高くなるほど、抽出率及び抽出物に占めるタキソ-ル及びバッカチンIII、10-デアセチルバッカチンIIIの組成が高くなり、溶媒抽出に比べ、選択的に抽出が行われた。 メタノールなどのエントレーナー(被抽出物と親和力の強い物質)を用いることにより、溶解度が増加した。エントレーナーの添加は、有機溶剤を用いるため、超臨界流体抽出の大きな特徴である無害な二酸化炭素を用いるという利点が失われるなどの問題も生じるものの、300気圧以下での超臨界CO_2ガスだけでは、タキソ-ル等の溶解度が低いことから、これらの溶解度を高め、プロセス化のため抽出圧力を低くするのに、有効であるということが分かった。 超臨界抽出は、溶媒抽出と比べ、抽出率が低いことから、乾燥重量に占める含有率は低くなることから、高圧域による抽出を検討する必要がある。 また、液体CO_2抽出法(50気圧)において、タキソ-ルをはじめて抽出することができ、エントレーナーを添加することにより、抽出効果をさらに高めることができた。 溶媒抽出と超臨界抽出を組み合わせた場合、超臨界抽出に比べ抽出率及び組成量が高くなったが、添加する保持材の量、エントレーナーの使用量、溶媒中での超臨界抽出を検討する必要がある。
|