研究概要 |
報告者は、本研究に於いて、線虫Caenorhabditis elegansのグルタミン酸トランスポーターをコードするcDNAおよびゲノムDNAの構造を明らかにし、さらに、グルタミン酸トランスポート活性を検討した。 1)グルタミン酸トランスポーターをコードするcDNAのクローニング cDNAライブラリーのスクリーニングおよびRT-PCRを行うことにより、2種類の異なるcDNAを得た(Ceglut-1,Ceglut-2)。両cDNAがコードするタンパク質は、それぞれ503および492アミノ酸残基より成り、哺乳動物のグルタミン酸トランスポーターと50-60%の相同性を示した。また、両タンパク質は、N末端11残基以外は完全に一致していた。これは、無脊椎動物のグルタミン酸トランスポーターに関する初めての報告である。 2)ゲノムDNAの解析 線虫Caenorhabditis elegansのゲノムプロジェクトより情報を入手し、上記cDNAの配列をもとに詳細な解析を行った。その結果、(1)グルタミン酸トランスポーター遺伝子は性染色体に位置すること、(2)9個のエクソンで構成されること、(3)Ceglut-1のN末端11残基は第一エクソンにコードされること、(4)従って、Ceglut-2はCeglut-1のスプライシングバリアントであることを明らかにした。 3)グルタミン酸トランスポート活性の検討 アフリカツメガエル卵母細胞の発現系を用いてCeglut-1およびCeglut-2がコードするグルタミン酸トランスポーターの活性を検討した。その結果、(1)Ceglut-1およびCeglut-2は、それぞれ、コントロール(水を注入したもの)の4倍、16倍のトランスポート活性を有すること、(2)従って、第一エクソンにコードされるN末端11残基がトランスポート活性を制御していることを明らかにした。
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