研究課題/領域番号 |
08770011
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | マウス / 胎児 / 形態形成 / プログラム細胞死 / アポトーシス / 細胞外マトリックス / マトリックスメタロプロテアーゼ |
研究概要 |
近年、従来からプログラム細胞死として知られていた哺乳類の形態形成および器官形成過程の時期特異的、部位特異的な細胞集団の死は、特徴的な形態変化とDNA切断を伴うアポトーシスであることが証明されている。今日、プログラム細胞死でいくつかのアポトーシス関連遺伝子の発現が明かにされるようになり、遺伝子に支配された確定的、能動的な細胞死の機構が存在すると一般に信じられているけれども、細胞死自体がプログラムされた現象であるかどうかは実際には証明されていないのが現状である。 報告者は平成8年度の研究過程において、マウス胎児の顎・顔面の形成過程および神経堤細胞の遊走過程に起こるプログラム細胞死(アポトーシス)といくつかの細胞外マトリックス成分(プロテオグリカン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン)の局在の変化について、両者の時間的・空間的な関係を免疫組織細胞化学的、生化学的に調べた結果、プログラム細胞死は常に基底膜や他の細胞外マトリックスの変化と連動していることが明らかになった。また、細胞外マトリックスの変化に重要な役割を果すマトリックス分解酵素(matrix-degradingmetalloproteinases)を免疫組織化学的、生化学的、分子生物学的な手法を用いて調べると、プログラム細胞死が起こる時期と部位ではマトリックス分解酵素の活性が極めて高いことが示唆された。さらに、マウス神経堤細胞の初代培養系を用いた実験により、細胞外マトリックスの分解や細胞骨格の破壊によって容易にアポトーシスを誘導できることが明かになった。(投稿準備中) これらの結果から、プログラム細胞死自体は、形態形成や細胞の遊走に必要な細胞外マトリックスの分解に伴って起こる、接着依存性細胞の偶発的な現象にすぎない可能性が示唆され、今後の展開として、細胞外マトリックスの分解とプログラム細胞死の関連を調べる予定である。
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