研究概要 |
生後0日目から11ヵ月迄のddY系マウスを用いて、三叉神経脊髄路核におけるチロシン水酸化酸素,GPTシクロヒドラーゼ1、L-ドーパ、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素の各抗体で免疫組織化学を行った。 今回の結果、マウスの三叉神経脊髄路核において、GPTシクロヒドラーゼ1、L-ドーパ、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素各抗体陰性で、チロシン水酸化酵素抗体のみ陽性であるチロシン単独水酸化酵素陽性ニューロン(以後、TH単独陽性ニューロン)を発見した。TH単独陽性ニューロンは生後0日目より認められ、その数は増加傾向を示し8日目より13日目にピークに達した。その後、漸減し21日目以後には認められなかった。また、形態的には内側部には大型、外側部には小型の二種類のTH単独陽性ニューロンを認めた。 これらのことより、今回確認した三叉神経脊髄路核におけるTH単独陽性ニューロンはL-ドーパニューロンではなく、他の何らかの作用に関与していると考えられる。また、形態的に外側部小型ニューロンはインターニューロンの特徴が認められ、TH単独陽性ニューロンは三叉神経脊髄路核の投射ニューロンの成長、分化に何らかの作用をしている可能性が考えられる。そして、今回の研究結果は、従来の“一過性TH単独陽性ニューロンはL-ドーパニューロン"との予測に対して、他の関与(作用)があることを示唆できる意味深い内容であった。
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