研究課題/領域番号 |
08770029
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
曹 偉華 東京大学, 医学部, 助手 (00272419)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | エンドセリン-1遺伝子 / ノックアウトマウス / 中枢性呼吸調節 / 中枢化学感受性 / 延髄-脊髄標本 / 呼吸反射 / グルタミン酸 / 胎児 |
研究概要 |
エンドセリン-1遺伝子完全欠損マウスは出生直後に呼吸不全により死亡したため、生理学的実験は成獣に成長する不完全欠損体で行わざるを得ず、その結果、明快な結論を得るには困難があった。そこで、エンドセリン-1遺伝子完全欠損マウスの呼吸反射の異常が、中枢神経系に起因する可能性を、摘出延髄-脊髄標本を用いて検証し、エンドセリン-1が中枢性呼吸調節に果たす役割を明らかにする目的でこの実験を行った。エンドセリン-1遺伝子ノックアウトマウスを交配・維持し、不完全欠損体どうしの掛け合わせから完全欠損体の胎児を随時作成し、対照として遺伝背景が同一の野生型の胎児を用いた。出産予定日に帝王切開により得た完全欠損体の胎児または同一の野生型の胎児から延髄-脊髄標本を摘出し、呼吸出力の指標として第4頚髄前根(C4)の周期的活動電位を記録した。安定したC4群放電(呼吸活動に相当する)の記録が得られることを確認した後、標準潅流液をグルタミン酸を混入した潅流液、またはpH7.4から6.9に調整した潅流液(すなわち、酸性潅流液)と交換し、両群の中枢化学感受性を調べ、以下の結果を得た。1、ベースラインのC4群放電頻度は、エンドセリン-1遺伝子完全欠損体の方が野生型より有意に少なかった。2、グルタミン酸投与による呼吸活動増大は、両群で差がなかった。3、低pH刺激による反射性呼吸活動増大は、エンドセリン-1遺伝子完全欠損体で有意に低下していた。4、延髄の組織学的検索では、エンドセリン-1遺伝子完全欠損体に明らかな異常は見られなかった。以上の結果から、内因性のエンドセリン-1は中枢性呼吸調節に機能的な役割をはたしていると推定された。
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