研究課題/領域番号 |
08770041
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
古我 知成 川崎医科大学, 医学部, 助手 (50186649)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 嘔吐運動 / capsaicin / resinferatoxin / substance P / 誘発電位 / イヌ |
研究概要 |
近年、神経伝達物質であるsubstance P(SP)が嘔吐反射に重要な役割を果たしているとの知見が報告されている。今回、延髄弧束核におけるSPの関与を、SP等の神経伝達物質を放出・枯渇させることで知られているcapsaicinとresinferatoxin(RTX)を使用して検討した。実際は、除脳イヌを非動化して、人工呼吸下で行い、横隔神経と腹筋支配神経の遠心性活動を記録し、嘔吐運動の指標とした。第4脳室へcapsaicin(10mg/ml)あるいはRTX(0.1mg/ml)を20μl投与すると、全てのイヌで、腹部迷走神経求心性線維の連続刺激によるretchingが消失した。一部のイヌで、capsaicin投与数分後、retchingが誘発されることを観察した。迷走神経刺激によるretching消失後も、弧束核の電気刺激(10Hz,±200-400μA)でretchingが誘発された。一方、迷走神経群パルス刺激による内側弧束核の誘発電位は、これら薬物の投与後、有意に減少した。迷走神経の群パルス刺激に興奮性応答を示す弧束核ニューロンは、capsaicinおよびRTXの投与直後から活動を増加したが、その活動頻度は徐々に減少し、投与数分後には迷走神経刺激に対する興奮性応答は消失した。以上の結果により、催吐性腹部迷走神経線維はcapsaicin sensitiveであることが結論される。従って、同線維から内側弧束核の細胞への伝達物質はSPである可能性が示唆された。これらの結果は、現在投稿準備中である。 今後、neurokinin 1 antagonistの静脈内投与、脳室投与、マイクロインジェクション等により、嘔吐反射におけるSPおよびneurokinin 1 receptorの弧束核における関与を検討していく予定である。
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