研究概要 |
1)DBA/2JマウスがC57BL/6Jマウスに比較して記憶学習機能と海馬でのPKC(プロテインキナーゼC)activityにおいて有意に低下していることは既に報告されており、記憶学習機能におけるPKCの重要性が示唆されている。HFS(高頻度刺激)後4時間の長期増強現象(LTP)をpop-spike amplitude(%,means±SEM)によって比較検討した。比較的強いHFS(3 trains of 400Hz,eight 0.4ms pulses/train)では、C57BL/6マウス(227.0±17.4,n=6)とDBA/2マウス共(232.4±31.1,n=8)に有意差の無いLTPが観察された。しかし、比較的弱いHFS(1 train of 400Hz,eight 0.4ms pulses/train)では、C57BL/6マウス(226.4±28.9,n=8)は3 trains HFSの場合と比較して有意差の無いLTPが観察されたが、DBA/2マウス(118.4±10.4,n=8)は一過性の増強反応を示したがHFS後1時間以内にはHFS前のレベルへ衰退した。この結果は、比較的強いHFSではDBA/2マウスのような低PKC活性でも、十分にLTPは維持されるが、比較的弱いHFSでは維持されないことを示している。以上より、海馬での短期増強の長期増強へ転換、あるいは、LTPの維持機構へのPKCの関与が強く示唆される。 2)PKCとその基質となるF1蛋白(F1/GAP-43)については、F1/GAP-43-lacZトランスジェニックマウスを用いて歯状回領域でのLTP時のF1/GAP-43の発現機構を現在、解析している。
|