研究課題/領域番号 |
08770072
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
桂 昌司 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (80204452)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 内在性不安誘発物質 / Diazepam binding inhibitor / 薬物依存 |
研究概要 |
本研究では、薬物依存成立とdiazepam binding inhibitor(DBI)生合成調節機構との関連性、およびDBIが内在性不安誘発物質であることをふまえて、退薬後の情緒障害との関連性についてより明確な見解を得ることを目的として、薬物依存ならびにその禁断モデル動物、および心理的ストレス負荷動物を用いて、アルコール依存成立過程ならびにアルコール退薬症候発現時に認められるDBI mRNA発現量の増加が、慢性アルコール摂取に伴う精神症状の変化に関与しているか否かについて検討した。 その結果、15分間の心理的ストレス負荷直後および1時間後におけるマウス大脳皮質内DBI mRNA発現量は、非心理的ストレス負荷群に比して何ら変化も認められなかったが、心理的ストレス負荷3時間後よりDBI mRNA発現量の有意な増加が認められ、この増加は心理的ストレス負荷後2日目まで経時的増加を示した。また、この心理的ストレス負荷2日後において認められたDBI mRNA発現量の最大値は、これ以降急速な減少は認めらず、非心理的ストレス負荷群のレベルにまで完全に低下するのに約7日間を要した。さらに、この増加はアルコール依存動物で得られた成績と同様に、中枢型ベンゾジアゼピン受容体作用薬(flunitrazepam)の前処置により完全に抑制された。 したがって、DBIが内在性不安誘発物質であると考えられていること、および今回得られた成績とから判断して、アルコール依存形成過程ならびに離脱症候発現時に認められる精神症状の変化にDBIの脳内変化が関与している可能性は極めて高いものと考えられ、未だ統一見解の得られていない薬物依存症の病態解明とその治療方針に有用な基礎データが得られたものと考える。
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