研究概要 |
ERM蛋白質が結合する膜蛋白質の細胞貿領域の特徴が塩基性アミノ酸に富むことであるとを、CD43,CD44を用いて推定してきたが、本年は、同じ特徴をもつICAM-2,IL-2レセプターαからもそれを支持する実験結果を得た。ERM蚤自質の一つであるエズリンと分布が一致するという報告のある膜蛋白質、ICAM-2の細胞貿領域をGSTとの融合蛋白質として大腸菌において、発現させた後、精製した。ERM蛋白質と試験管内において混合したのち、グルタチオンビーズにGST融合蛋白質を吸着させ、洗浄、溶出の際、ERM蛋白質を伴うかどうかをERM蛋白質に対する抗体により検出した。この実験から、ICAM-2の細胞質領域とERM蛋白質との、試験管内での結合が確認された。また、同じ領域を膜蛋白質である、E型カドヘリンの細胞質領域と入れ替えたキメラ膜蛋白質を培養細胞に発現させたところ、ERM蛋白質と同様、微絨毛に局在することがわかった。ICAM-2の細胞貿領域は28アミノ酸からなり、極めて塩基性アミノ酸に富んでいた。細胞質領域が塩基性アミノ酸に富むという特徴をもつ膜蛋白質をデータベースから検索し、そのひとつとしてエレ-2レセプターαを見い出した。IL-2レセプターαの細胞質領域は、11アミノ酸からなる。IL-2レセプターαも培養細胞での発現実験から、ERM蛋白とともに微絨毛に局在することがわかった。ERM蛋白質は、アクチン繊維と細胞膜との結合にさまざまな膜蛋白質を利用するらしい。
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