研究概要 |
A・B型Niemann-Pick病(NPD)に存在する臨床型の多様性に関する研究を行った。本疾患では肝合併症が生命予後を決定する因子になっていると考えた。中枢神経症状を示さない3例のB型NPDに関して肝機能検査、肝生検、Acid Sphingomyelinase遺伝子解析を行った。小児期よりCherry-red Spotの存在、重傷肝脾腫、成長障害を示した症例1では、13才ですでに肝線維化が認められ、Indocyanine Green(ICG)試験が、34.5%と高値を示していた。症例2は50才代まで生存しているが肝硬変を合併している。その肝組織は中等度線維化と肝硬変像を示していた。ICGは29%と高値を示していた。症例3は軽度の肝機能異常・肝脾腫を示す30才代の症例で、肝組織は肝細胞の腫大を示すが線維化がなかった。ICGは正常値を示していた。以上の3症例よりそれぞれ遺伝子異常S436R,A559T.S231Pを同定した。 臨床症状の強い例では、肝機能異常・肝組織所見が強く、臨床経過の軽い例では肝機能異常・肝組織所見が弱いという関係が認められた。その多様性は、遺伝子異常の多様性によりもたらされることが解明された。それぞれの遺伝子異常に関しての発現による解析を行う予定である。(Tsutomu Takahashi,et al : Heterogeneity of liver disorder in type B Niemann-Pick disease. Human Pathology 28:385-388,1997)
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