研究課題/領域番号 |
08770119
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秋山 好光 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80262187)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | HNPCC / 大腸癌 / 大腸腺腫内癌 / TGF-βII型レセプター / RER / (A)_<10>領域 |
研究概要 |
遺伝性非腺腫症性大腸癌(HNPCC)や、replication error(RER)が認められた一部の散発性腫瘍でTGF-β II型レセプター(RII)遺伝子内に存在するアデニン10個の繰り返し部位[(A)_<10>]の異常が高率に起こることが報告されてきた。しかし、RIIと発癌との関係は不明な点が多かった。そこで我々は大腸癌における発癌機構について解明するため、RERおよびRIIの異常を解析し、臨床病理学的諸性状との関連性について検討した。更に異常が認められた症例については代表的なDNAミスマッチ修復遺伝子(hMSH2とhMLH1)についての解析した。進行大腸癌69例を対象とし、5個のMicrosatellite markerを用いてRERの検出を行い、更にRIIの(A)_<10>部位およびhMSH2、hMLH1についてPCR-single strand conformation polymorphism(SSCP)法で異常の有無を解析した。RER(+)は22例(32%)、RII(A)_<10>異常は7例(10%)に認められた。RII異常はRER(+)症例でのみ検出され、Direct sequencingの結果、全て(A)9/10のheterozygous deletion であった。 臨床病理学的にはRERは右側大腸癌に多い傾向が認められ(p<0.05)、かつRII異常は全例とも右側であった(p<0.05)。更にRII(+)のうち2例でhMSH2の異常が認められた。この結果より、RII異常は右側大腸癌の一部では特異的であり、その発癌機構はHNPCCと同様であることを明らかとした。 一方、大腸癌の発癌機構には腺腫からの癌化の有無が論争となってきた。そこでHNPCC腺腫14例および散発生大腸腺腫内癌17例を対象として、RIIの(A)_<10>部位での異常の検出を行った。HNPCC腺腫では8例(57%)に異常が検出されたが大腸腺腫内癌での異常は認められなかった。しかし腺腫内癌全例について、RIIの全coding領域をSSCP解析した結果、一部の右側大腸腺腫内癌の腺腫と癌の両方でRIIのヘテロ接合性の消失を検出した。以上より、RIIは大腸癌発癌過程の腺腫発生の段階に関与している可能性が推測された。
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