研究課題/領域番号 |
08770137
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
長尾 俊孝 帝京大学, 医学部, 助手 (90276709)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | 肝細胞癌 / 細胞増殖能 / 血管新生 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
一般的に癌細胞の増殖は、癌細胞周囲の組織環境に大きく影響される。そこには種々の増殖因子のパラクライン作用による癌細胞の増殖能亢進や血管新生が考えられている。肝細胞癌はhypervascular tumorであり、早期の段階に類洞の毛細血管化現象が起き、それが腫瘍血管として働くと考えられている。そこで我々は、肝細胞癌における血管新生と癌細胞との相互作用について血管内皮細胞マーカーであるCD34と増殖因子の一つであるvascular endothelial growth factor(VEGF)の発現を組織切片上で検討した。その結果、CD34は正常の類洞壁内皮細胞では陰性であったが肝細胞癌では全例陽性であり、その陽性率は組織学的分化度が低くなるにしたがって高値を示した。このことからすでに腫瘍発生の早期の段階に腫瘍血管としての類洞の毛細血管化が起こっていることが示唆された。また、早期肝細胞癌におけるCD34陰性の部分では既存の類洞を残し、癌細胞が正常の肝細胞を置き換えながら増殖している可能性が考えられた。Ki-67 labeling index及びhistone H3 mRNAの発現を指標とした細胞増殖能は組織学的分化度と強い相関を示し、それらの値が高いほどCD34の発現は強い傾向にあった。免疫組織化学的にVEGFは弱いながら肝細胞癌全例にその発現がみられたが組織学的分化度、血管新生の程度あるいは細胞増殖能との明かな関連性は見いだしえなかった。今後、nothern blotting法やin situ hybridization法を用いたVEGFのmRNAの発現の程度と様式、さらには腫瘍の血行性転移や予後との関連性についても検討したいと考えている。
|