研究概要 |
我々はウシの大脳に存在する非蛋白性のARI活性を有する物質-つまりコレラ毒素のADP・リボシル化活性を阻害する物質-の精製を行なった。その結果、糖脂質のガングリオシド類の中にコレラ毒素のADP・リボシル化活性を阻害するものがあることを発見した。 特に、ガングリオシドGM1,GD1b,GT1b,GQ1bが特に強い制御作用を示した。一方、アシアロガングリオシドGM1,シアル酸、N-acetylneuramine lactoseにはこの制御作用をまったく認められなかった。このことは、シアル酸、糖鎖、セラミドを化学構造内にもつことがARI活性に必須であることを示唆している。また、ガングリオシド画分をシアリダーゼで処理しても、ARI活性が一部残ることから、ガングリオシド以外の糖脂質にも活性が存在する可能性が示唆されたので、この糖脂質の分離についても現在進めている。 以上のことから、ガングリオシドを含む糖脂質のあるものは、生体内でのADP-リポシル化に強く関与している可能性が示された。今後、これらのARI活性を有する糖脂質の特定を行ない、生体内での機能についても解析したい。
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