研究概要 |
HHVー6B(HST2株)を感染72時間後の末梢血単核球からmRNAを分離し、これを鋳型としてcDNAを合成しpACT2およびpGAD424ベクターに導入してcDNAライブラリーを作製した。これよりIE1cDNAを単離し、ORFの全長をコードするクローンを得た。これから全長(1078aa)をコードするDNA断片をPCRにより作製し、two-hybrid systemのbait発現ベクターpGBT9,pAS2-1にin-frameとなるように挿入した。これらをS.cerevisiae Y190,CG-1945,Y187に導入したところ、形質転換体を得ることができなかった。このことはIE1蛋白の全長が酵母の生存にとってtoxicであることを意味している。そこで、IE1蛋白の様々な領域をカバーする欠失変異体を8種類作製し、上記の酵母に導入したところ、1つを除いて形質転換体を得ることができた。しかし、これらの変異体はそれ単独でリポーター遺伝子を活性化してしまい、baitとして用いることができなかった。これらはいずれも等電点が酸性に偏っており、本来acidic transactivatorとして機能するGAL4のactivation domainの機能を代替してしまった可能性が考えられた。このことからIE1蛋白のアミノ酸配列を詳細に検討したところ、695-1029(335aa)の等電点が7.22であることが判明したため、この領域をbaitとするplasmidを構築して形質転換体を作製した。予想どおり、この株はリポーター遺伝子を活性化せず、baitとして使えることが判明した。そこで、このbaitを含むY190に上述のcDNAライブラリーを導入して、baitと結合する因子のスクリーニングを行った。これまでのところ、2,000,000クローンほど行っているが、ポジティブクローンは同定できていない。平行して行っている別のbaitでは多数のクローンが得られているので、システム自体は動いていると考えられ、baitとして用いたこの領域に問題のある可能性が示唆された。 IE1蛋白の全長をGST融合蛋白として大腸菌で発現させ、これをウサギに免疫してポリクローナル抗体を作製した。現在この抗体を用いて生化学的にアプローチすることを検討中である。
|