研究課題/領域番号 |
08770229
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
植原 昭治 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (60272499)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 免疫不全 / チロシンキナーゼ / トランスジェニツクマウス |
研究概要 |
マウス伴性劣性免疫不全症(XID)はB細胞数の軽度の減少と様々なB細胞機能異常を示す先天性免疫不全症である。XIDマウスにはプルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の構造遺伝子に一アミノ酸変異が存在することから、BtkがXIDマウスの病因遺伝子であることが明らかにされている。しかし、XIDがなぜBtkの一アミノ酸の置換で惹起されるのかは不明である。そこで、本研究ではB細胞シグナル伝達系におけBtkの役割を解明し、XIDマウスの免疫異常の是正法を開発する目的で、(1)抗Btk抗体による野生型及びXID型Btkと会合分子の検索、(2)野生型及びXID型Btkトランスジェニツクマウス(Btk-Tg)の作製、を行い以下の結果を得た。 (1)免疫沈降可能なウサギ抗Btkを作製できた。IL-5刺激前後の早期B細胞株Y16やXIDマウス由来初期B細胞株の可溶化物を用いて、免疫沈降法により野生型及びXID型Btkと特異的に共沈降する蛋白の探索を進めているが、これまでのところ検出出来ていない。 (2)野生型3系統、XID型7系統のトランスジェニックマウスの作製に成功した。これらのマウスは脾臓及び骨髄でBtkの発現が亢進しており、通常発現を認めない胸腺でもBtkの発現が認められた。現在までに野生型Btk-TgマウスのB細胞に機能的な異常は認めていない。しかし血清中IgGl、IgG2a値が低いことから、抗体産生を制御するT細胞側に異常がある可能性が考えられる。また、野生型Btkの導入によりXIDマウスの免疫不全を是正することを目的として、野生型Btk-Tg/XIDマウスを作製したが、このマウスでの免疫不全の回復は不完全であった。XIDマウスで内因性に発現している変異Btkが導入した野生型Btkと競合している可能性があるので、現在Btk遺伝子欠損マウスへの野生型Btkトランスジーンの導入を進めている。
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