研究課題/領域番号 |
08770241
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
穂積 勝人 東海大学, 医学部, 助手 (30246079)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | T細胞 / 分化 / 遺伝子再構成 / TCR / 脱メチル化 / GATA3 |
研究概要 |
我々はT細胞系列分化決定の分子機構を解明することを目的として、TCR遺伝子再構成に先行して起こる、TCR遺伝子の脱メチル化およびgerm-line型転写がT細胞初期分化の有用なマーカーになることを見出し、これを誘導する分子機構について解析してきた。本研究ではT細胞特異性の高い転写因子、GATA3に着目し、GATA3が発現しないB系細胞(A20)にGATA3cDNAを正逆両方向に導入し、その影響について検討した。その結果、正方向にGATA3を導入したトランスフェクタント(Tf)においてのみ、TCRβ遺伝子のJβ2領域での脱メチル化が誘導された。しかし、Jβ1領域での脱メチル化は認められなかったことから、導入したGATA3はβ遺伝子エンハンサーのみならず、これまでに知られていないJβ2特異的な領域にも影響される可能性が示された。そこでJβ2上流域の塩基配列を検索するとともに、一部配列が明らかにされていないJβ1上流域の塩基配列を決定したところ、Jβ2上流域にのみGATA3結合配列が見出され、そのGATA3との結合がEMSAにて確認された。しかし、GATA3結合配列を含むJβ2上流域をクローン化後、luciferase遺伝子上流に接合し、転写活性化能を、germ-line型転写が認められた未熟T細胞株(当教室にて樹立)に導入して調べたが、有意な活性は認められなかった。GATA3-TfにおいてもTCRβ遺伝子のgerm-line型転写は検出されなかったことと考え合わせると、転写反応の開始には、GATA3以外の転写因子がさらに必要なことが予想された。しかしGATA3発現によってJβ2上流域は脱メチル化反応に示されるDNAの状態変化が誘導されたものと考えられ、T細胞初期分化におけるGATA3の重要性とともに、Jβ2特異的なシスエレメントの存在が強く示唆された。
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