γδ型T細胞からmRNAを抽出しcDNAを調整した後、PCR法によりγ鎖とδ鎖を増幅し、得られた遺伝子断片をBstIアダプターを用いてPEF-BOS発現ベクターに組み込んだ。ベクターをそれぞれApaLIおよびScaIで消化しTCR^-Jurkat細胞に導入し、γδ型Jurkat細胞を作製した。さらに、γ鎖およびδ鎖のCDR3部位のリジン残基を点突然変異により改変することにより、変異型のγδ鎖を有する発現ベクターを得た。今後、これら変異型ベクターをJurkat細胞に導入することにより、変異γδ型T細胞の作製を試みる予定である。 新規抗原の合成については、各種アルキル、アルケニルピロリン酸系抗原を合成すると共に、それらの誘導体であるトリリン酸系抗原も合成した。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル等の直鎖型アルキルピロリン酸およびトリリン酸、またそれぞれの分枝型アルキルピロリン酸およびトリリン酸、アリル、クロチル等のアルケニルピロリン酸およびトリリン酸、またそれぞれの分枝型アルケニルピロリン酸およびトリリン酸、さらに長鎖の分枝型アルケニルピロリン酸およびトリリン酸等、計74種の新規化合物の合成を行った。これら化合物の一部について、その生物活性を測定したところ、エチルピロリン酸についてはγδ型T細胞の活性化において1ユニットは5-10μMであり、エチルトリリン酸においてはおよそ10μMであった。今後さらに他のの新規化合物についてその生物活性を測定し、γδ型T細胞の抗原認識機構における構造学的要求性について、検討していきたい。
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