研究概要 |
秋田県南外村の65歳以上の在宅老人1037名を対象として,運動・スポーツ習慣,疾病状況,過去1年間の転倒状況および運動時刻,生活満足度,抑うつ度(GDS),自覚症状,食生活の規則性に関する聞き取り調査を7月に実施した.また,体格および血圧,心拍数,心電図,開眼片足立ち時間など自律神経機能に関する測定を実施した.1021名から聞き取り調査の回答を得,862名に対して自律神経機能測定を実施した.運動やスポーツの習慣がある者は,男性15.8%,女性9.1%であった.運動の内訳では,ゲートボールが62.7%と最も多く,次いで歩行や体操が10.0%,ゴルフが4.7%,その他が22.6%であった.運動時刻の内訳は,4〜6時が1.9%,6〜8時が1.3%,8〜10時が13.3%,10〜12時が18.4%,12〜14時が6.3%,14〜16時が38.0%,16〜18時が10.1%,18〜20が13.0%,不定・その他が9.5%であった。主に実施する時刻により,10時までに行う朝群(26名),10〜14時に行う昼群(21名),14〜16時に行う午後群(39名),16時以降に行う夕群(18名),不定群(15名)に分類し,それぞれの特性について性,年齢を共変量とした共分散分析にて検討した.老研式活動能力指標得点は運動時刻に有意に関連し,性,年齢調整済み平均は,朝群11.8,昼群12.9,午後群12.0,夕群12.1,不定群12.2であり,昼群が高かった.その他の自覚症状,生活満足度,抑うつ度,および生理学的自律神経機能に関わる指標には運動時刻の有意な関連は認められなかった.老年期においては老化および性が自律神経機能に及ぼす影響の方が運動時刻の影響より大であった.昼に運動する群が老研式活動能力指標得点が高い原因については,運動効果は朝,夕より昼に運動する群で高いという報告もあり,今後追跡調査などによりその因果関係を明らかにする必要がある.
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