研究課題/領域番号 |
08770317
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
木林 和彦 熊本大学, 医学部, 助手 (20244113)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 頭部外傷 / 脳挫傷 / 神経細胞死 / アポトーシス / 軸索損傷 / 瀰漫性軸索損傷 / 受傷機転 / 免疫組織化学 |
研究概要 |
1)脳皮質挫傷による神経細胞死の機序(特に、アポトーシスの関与について):脳皮質挫傷7症例、脳皮質挫傷と類似の組織所見を呈する脳梗塞6症例及び正常対照5症例について約2週間ホルマリン固定した脳の肉眼検査を行い、損傷(病変)部位2個と定常部位13個の組織標本を作成して髄鞘染色と軸索染色を行った。神経細胞の虚血性変化は受傷後約6時間から始まり、軸索の腫張は12時間前後で起こり、境界明瞭な髄鞘の崩壊は約1日で形成されることを明らかにした。また、in situ end labeling法によるアポトーシスの検出と免疫組織化学法によるアポトーシス抑制因子bel-2の検出を行ったところ、皮質挫傷と梗塞の周辺部に神経細胞のアポトーシスと星状膠細胞のbel-2発現が観察された。今後検討を重ねて、皮質挫傷による神経細胞死の機序にはアポトーシスが関与し、星状膠細胞がbel-2を発現して神経細胞のアポトーシスを抑制していることを証明する。 2)脳皮質挫傷に伴う深部白質損傷:瀰漫性軸索損傷の自験17症例の受傷機転と神経病理を検索した。瀰漫性軸索損傷の多くは頭部顔面への前後方向叉は上下方向の外力で生じ、受傷後生存期間と脳組織標本の関係から受傷後早期に脳橋内側毛帯に軸索腫張が出現することが判明した。以上の結果は法医解剖例の受傷機転の解析と瀰漫性軸索損傷の診断に役立っている。現在、脳皮質挫傷7症例について、脳の深部白質における軸索変性を抗ニューロフィラメント抗体を用いた免疫組織化学法によって検索しており、脳皮質挫傷には"intermediate coup contusion"と言われる深部白質損傷が高頻度に合併することを証明し、また瀰漫性軸索損傷との移動を明らかにする。
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