研究課題/領域番号 |
08770319
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
北村 修 東京慈恵会医科大学, 医学部・法医学教室, 助手 (70266609)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 心臓突然死 / 虚血・低酸性脳障害 / 神経細胞 / 細胞骨格蛋白 / 神経栄養因子 / 熱ショック蛋白質 / 癌遺伝子産生蛋白 / アストロサイト |
研究概要 |
心臓突然死を中心とした内因性急死の症例の脳において、発症から死亡までが短時間である群については、ヘマトキシリン-エオジン(HE)感染及びルクソ-ルファーストブルー(LFB)染色では神経細胞に虚血性変化等の明らかな形態学的変化を認めなかった。しかし、免疫組織化学的染色により、失神等の意識障害や心停止の既往歴がある虚血性心疾患、心筋症及び先天性心疾患であるファロ-の四徴症の海馬のCA2-4領域では、神経細胞の細胞質内に顆粒状のMAP-2陽性像が認められ、さらに同領域では熱ショック蛋白質(HSP70)及び癌遺伝子産生卵白(c-FOS)陽性像が認められたが、虚血及び低酸素に対して最も脆弱である海馬のCA1領域では、いずれの免疫活性も陰性であった。アストロサイトの変化について観察したところ、海馬の歯状回では、GFAP陽性の細胞質及び突起が肥大したアストロサイトが増生しているのが認められた。しかし、これらのアストロサイトについてビメンチン、酸性及び塩基性線維芽細胞成長因子(a-FGF、b-FGF)に対する抗体を用いて観察したところ、明らかな陽性像は認められなかった。これらの変化は、心疾患による虚血及び低酸素発作による病体を反映している可能性を与え、同様な病体を引き起こす気管支喘息の症例について検討したところ同様の結果が得られた。 以上のことから、虚血及び低酸素性脳障害を引き起こす心疾患の剖検例における脳において、神経細胞の細胞骨格蛋白、アストロサイトの形態及び増生、熱ショック蛋白質、癌遺伝子産生蛋白について特徴的な神経病理学的変化を認めた。従って、免疫組織化学的手法は、心臓突然死の法医病理学的診断に寄与するものと思われる。
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