5つの大家族の構成員の末消リンパ球サンプルを得て、PCR-ELISA法によりT細胞リセプター(TCR)BVおよびBJ遺伝子レパトワの解析を行った。また、各構成員の好中球からゲノムDNAを抽出し、PCRおよび塩基配列特異的オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーション法によりHLAのタイプを決定した。さらにTCRBV6遺伝子に認められるマイクロサテライトの多型性を利用して、TCR遺伝子のタイプも決定した。これらの結果を基に、BV、BJ遺伝子レパトワにおけるHLAおよびTCR遺伝子の影響を調べたところ、BVレパトワはHLA遺伝子の支配を強く受けていたが、BJレパトワにおける両遺伝子の影響は明らかではなかった。 そこで正常非血縁者のうち、慢性間接リウマチ(RA)感受性を規定するとされるHLADR4シェア-ド・エピトープを持つ者と持たない者の抹消リンパ球TCRレパトワを比較検討した。その結果、シェア-ド・エピトープを持つ者の末消血には、RAの炎症局所の活性化T細胞に多く局在するTCRを持つT細胞が既に多く含まれていた。 つまり、1)HLADRシェア-ド・エピトープは特異なHLAで、TCRレパトワの形成に強い影響を与えうる。2)その結果、RAの原因となるようなT細胞を正の選択により増加させてしまう。したがって、HLADRシェア-ド・エピトープが、いかにRA発症に関わるかを初めて示す結果となった。
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