研究概要 |
(目的)カルシウム依存性プロテインキナーゼII(CaM KII)によるインターロイキン(IL-2)遺伝子に対する転写調節機構を明らかにするため、同酵素のAP-1転写活性抑制機序を追究することを目的とした。 (方法)IL-2プロモーター内に存在するAP-1結合部位の塩基配列に従い合成した2本鎖DNAをプローブとして用いた。該抽出物は、ホルボールエステル(phorbol myristate acetate,PMA)、カルシウムイオノフォア(ionomycin)の各種組み合わせで刺激したJurkat細胞(CaMKIIを遺伝子導入により過剰発現させたものとベクターのみを導入したものの2群)より作製した。^<32P>-標識したプローブと該抽出物を反応させ、電気泳動でDNA-蛋白複合体を分離、オートラジオグラフィーで検出した。CaMKII過剰群と通常のJurkat細胞群間でDNA結合能を有するAP-1蛋白の半定量的比較を行なった。 (結果)ゲルシフト法で,PMA刺激時にIL-2プロモーター内のAP-1領域に結合する蛋白を,Jurkat細胞核抽出物より検出できた。遺伝子導入により細胞内で過剰発現させたCaMKIIは,AP-1蛋白のIL-2プロモーター領域への結合能には影響しなかった。したがってCaMKIIはAP-1の転写活性調節部位への影響により転写活性を抑制している可能性が示唆された。
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