本研究では、慢性関節リウマチ(RA)の病因に関与するT細胞の性状や機能を解析するため、RA患者体内で活性化し分裂を繰り返したと考えられるT細胞を検出することを目的とする。このように分裂を繰り返した細胞では、突然変異を生じる確立が高いと考えられるため、突然変異の指標としてHPRT遺伝子座を用い、HPRT活性を欠損したT細胞を検出しその頻度を測定した。末梢血単核球をrIL-2とPHAで刺激し、6-thyoguanine(6-TG)を添加してHPRT欠損T細胞を選択的にクローニングし、クローニング効率を算定して、6-TG無添加の正常細胞と比較して突然変異細胞の頻度を検討した。さらに、その突然変異細胞の出現頻度とRAの活動性との間の関連についても検討した。60余名のRA患者と10余名の健常人の末梢血において検討したところ、HPRT欠損細胞出現率は、健常人では10^6個に2-17個であり、また、個人内で採血する時期を変えてもほぼ一定の値が得られた。一方、RA患者群ではHPRT欠損細胞出現率は、10^6個に3-40個であった。また、活動性の高いRA患者においては高い傾向にあり、T細胞の活性化のため、突然変異細胞の出現頻度が増していると推定された。今後は、RAの活動性とHPRT欠損細胞出現頻度との関連や突然変異をきたした細胞のクロナリティの解析などを加えていく予定である。
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