Hepatocyte Growth Factor(HGF)の非活性型から活性型へのプロセシングを触媒するHGF activatorの免疫酵素測定法(ELISA)を確立することを目的とした。ELISA測定系は、マウスモノクローナル抗HGFactivator抗体をプレートに固相化し、サンプルを添加した後、2次抗体にHRP標識マウスモノクローナル抗HGF activator抗体を用い、OPD発色後、波長490nmにて吸光度を測定した。まず、0.625ng/mlから100ng/mlまでの精製HGFactivator標品を用いて標準曲線を作成したところHGFactivator蛋白濃度として1ng/mlより40ng/mlの間で良好な標準曲線がえられた。つぎに このHGFactivatorELISA系を用いて急性肝障害患者の血漿HGF activator濃度を測定した。正常者血漿HGFactivator蛋白濃度は1〜5ng/mlであったが、血清HGFレベルが3.36ng/ml、2.59ng/mlと上昇している劇症肝炎患者血漿のHGFactivator蛋白濃度はそれぞれ16.0ng/ml、29.2ng/mlとあきらかに上昇していた。また正常サルの臓器におけるHGF activator蛋白レベルは、脾臓、腎臓ではほとんど検出されないが、肝臓におけるそのレベルは著しく高かった。四塩化炭素を経口投与して作製した急性肝障害サルでは、肝臓におけるHGF activator蛋白レベルはやや増加した。我々が確立したHGFactivator ELISA測定系は臨床的にも応用可能と思われ、さらには各種肝疾患患者における肝再生の病態解析に有用であると考えられる。
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