1.高感度PCR法による血中B型、C型肝炎ウイルス遺伝子の検索 (対象と方法)HBs抗原陰性、HCV抗体陰性の非A-E型肝炎(X型肝炎)患者(急性肝炎10例、慢性肝炎17例、肝硬変11例、肝細胞癌12例)の血清を用いてPCR法によりHBV-DNA、HCV-RNA、GBV-C-RNA/HGV-RNAの検出を試みた。(結果と考察)HBV-DNA、HCV-RNAが検出された症例はなく、肝硬変患者2例においてGBV-C-RNA/HGV-RNAが陽性であった。X型肝炎においてウイルス量が少ないとされる変異型B型肝炎、C型肝炎ウイルスの関与はほとんどなく、最近クローニングされたG型肝炎ウイルスの関与も少数であることがあきらかになった。すなわちこれらX型肝炎の原因のほとんどは未知の肝炎ウイルスである可能性が示唆された。(1996年AASLDにて発表) 2.未知の肝炎ウイルス遺伝子のクローニング (対象と方法)上記の方法によって、HBV-DNA、HCV-RNA、GBV-C-RNA/HGV-RNAが陰性であった患者血清を用いてRNA、DNAを抽出、dsDNAを合成し、適当な制限酵素で切断後アダプターを両端に付加し、アダプターに相補的なプライマーを用いてPCR法によりdsDNAを増幅後、電気泳動を行った。(結果と考察)電気泳動により数本のバンドが得られたので現在クローニングと解析を試みている。
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