研究課題/領域番号 |
08770374
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中島 智樹 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (40275201)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 肝癌 / 細胞動態 / アポトーシス / 増殖活性 / 細胞増殖 / 腫瘍体積倍加時間 / 細胞周期 |
研究概要 |
肝癌の生長を数式化するため、ヌードマウスに移植したヒト培養肝癌細胞株(PLC/PRF/5)の生長について検討した。すなわち、移植腫瘍が対数増殖をとることを確認し腫瘍体積倍加時間(DT)を算出したうえで、マウスを経時的に屠殺し腫瘍を切除した。屠殺前に3時間の感覚をあけてbromodeoxyuridine (BrdU)とiododeoxyuridine (IdU)を腹腔内投与し、S期細胞を二重標識した。得られた組織よりパラフィン切片を作成しHE染色、Ki-67免疫染色、BrdU-IdU二重免疫染色を行った。こうしてHE染色上でのアポトーシスの頻度(A)、Ki-67陽性率(B)、BrdU単独標識率(C)、を算定した。またコンピュータ解析により、アポトーシスで生じる平均縮小率(f)も算出した。ここでBの頻度の増殖期細胞が細胞周期時間(Tc)だけかかって細胞周期をまわり、Cの頻度のS期細胞は3時間の間にG_2期に入るので、B/Tc=C/3(式1)と書ける。一方、細胞がアポトーシスに要する時間をTaとすると、組織レベルでは、単位時間あたりB/Tc-f・A/Taの率で腫瘍が生長していくと思われるのでDT=ln2/B/Tc-f・A/Ta(式2)とおける。これに式1を代入するとTaが求められる。20腫瘍を検討した結果、A=0.011〜0.023、B=0.400〜0.551、C=0.025〜0.047、f=0.600〜0.628、DT=4.4〜7.6×24であった。そこで式1よりTc=50.4〜67.2、これを式2に代入してTa=2.8〜3.2時間と見積もれた。以上より、DT≒ln2/B/Tc-f・A/3と近似しうると結論された。現在、PLC/PRF/5以外の肝癌細胞株についても検討中である。このような数式化によって、より詳細に肝癌の生長過程を評価できるものと期待され、臨床症例にも応用していきたい。
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