研究課題/領域番号 |
08770382
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
大木 英二 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10245475)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | エタノール / エンドトキシン / 微小循環障害 / サイトカイン / 細胞接着分子 / 蛍光色素 |
研究概要 |
慢性エタノール摂取時におけるエンドトキシンによる肝微小循環障害進展機序の解明のために、エタノール含有液体飼料にて飼育したラット(エタノール群)及びコントロールラット(コントロール群)にエンドトキシン(1mg/kg)を投与し、以下の指標について検討した。1)肝類洞内のfluorescein Isothiocyanate(FITC)で蛍光標識した赤血球流速の変化。2)門脈圧、動脈圧の変化。3)carboxyfluoresceinsuccimidylester(CSFE)にて蛍光標識した白血球の肝類洞壁膠着数の変化。4)肝逸脱酵素AST、ALT、LDHの変化。5)血中サイトカインTNF-α、IL-8の変化。6)白血球上の細胞接着分子LFA-1の発現の相違。7)抗LFA-1抗体投与による肝類洞壁への白血球膠着数の変化。(成績、結果)1)エンドトキシン投与後、両群ともに赤血球流速の低下を認めたが、エタノール群においてより有意な低下を認めた。2)エンドトキシン投与後、両群ともに門脈圧の上昇を認めたが、エタノール群においてより有意な上昇を認めた。動脈圧はエタノール群において軽度の低下を認めた。3)肝類洞壁への白血球膠着数は両群ともに増加したがエタノール群においてより有意な増加を認めた。4)エンドトキシン投与後240分の血清肝逸脱酵素はいずれもエタノール群においてより有意な増加を認めた。5)IL-8は経時的に240分まで上昇を持続した。TNF-αは経時的に180分まで上昇し、240分では低下を示した。IL-8、TNF-αともにエタノール群においてより有意な増加を認めた。6)エンドトキシン投与後90分の循環血流中白血球におけるLFA-1の発現はエタノール群において増加を認めた。7)抗LFA-1抗体投与によりエンドトキシン投与後の白血球の肝類洞壁への膠着はエタノール群において有意に抑制された。(結語)慢性エタノール摂取時にはエンドトキシンによる肝微小循環障害がより強く進展し、その機序には白血球の肝類洞壁への膠着数の増加、TNF-α,IL-8などのサイトカインの関与が示唆された。また肝類洞壁への白血球膠着に白血球上のLFA-1などの細胞接着分子の関与が示唆された。
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