研究概要 |
レトロウイルスベクターであるLXSNは、そのなかにXと呼ばれる遺伝子を有し、その上流にクローニングサイトとを持っている。クローニングサイトには、EcoRIと、HindIIIの酵素切断部位がある。そこで、HBVのcore領域とenvelope領域のそれぞれを含むプライマーを作成した。(HBV-cl:5'-AAGCTTATAAATTGGTCTGCGCACCAGCA,nt.1789-nt.1811,HBV-c2: GAATTCTGTAGAGGAATAAAGCCCCGTAA,nt.2510-nt.2488,HBV-e1:5'- AAGCTTGGTCACCATATTCTTGGGAACAA,nt.2821-nt.2843,HBV-e2:5'- GAATTCCAATTCTTTGAGATACTTTCCAA,nt.1000-nt.978)この2組のプライマーには、それぞれの両端に、EcoRIとHindIIIの認識配列を付加してある。これらのプライマーを用いて、すでにクローニングしてある、HBV株(adwR9)をテンプレートとしてPCR反応を行い、その産物をアガロースゲルに流した後精製し、LXSNに組み込んだ。その後、このウイルスベクターを増殖させ、感染実験に必要な量の、コンストラクトを得た。まず本研究では、基礎実験として、in vitroで肝臓由来の細胞に感染し、ウイルス蛋白、この場合は、HBVのcoreとenvelopeの蛋白を発現するかどうかを調べた。感染には、HepG2細胞を用いた。この結果、このコンストラクトを感染させた細胞では、まず培養上清中にHBs抗原とHBc抗原を分泌した。また、感染させた細胞のcell lysateのWestern blotの結果、期待されたサイズのcore蛋白とenvelope蛋白を検出した。これらの結果より、本研究で作成したHBV蛋白を組み込んだレトロウイルスベクターは、in vitroで肝臓由来の細胞に感染し、ウイルス蛋白を発現させることがわかった。次に、in vivoで、マウスに感染させ、肝臓での発現を調べる計画である。
|