研究概要 |
肝細胞でのアシアロ糖蛋白のレセプターを介した取り込みと細胞内輸送において細胞内のエンドゾームやライソゾームのpH(vacuolar PH,endosomal pH)が、いかなる役割をはたしているかをvacuoar H^+ATPaseの特異的阻害剤であるbafilomycin Alを用いて検討した。蛍光顕微鏡を用いた観察では、bafilomycin Alによりacridine orangeの蓄積するpHの低いエンドゾームが消失し、endosomal pHの維持にvacuolar H^+ATPaseが必要であることが証明された。金コロイドでラベルしたアシアロ糖蛋白と電子顕微鏡を用いたaffinity cytochemistryでの観察では、レセプターを介したアシアロ糖蛋白の取り込みはbafilomycin Alにより阻害されたが、fluid-phase endocytosisされるhorseradish peroxidase(HRP)の取り込みには影響を与えず、bafilomycin Alはレセプターのリサイクリングを阻害することによりアシアロ糖蛋白のレセプターの数を減少させることによりアシアロ糖蛋白の取り込みを阻害すると考えられた。また、電子顕微鏡とimage analyzerを用いた画像解析では、bafilomycin Alにより細胞辺縁部での、つまりearly endosomeの膜癒合が阻害され、early endosome間のmembrane fusionにvacuolar pHが重要な役割を演じていると考えられた。以上よりvacuolar pHはアシアロ糖蛋白のレセプターのリサイクリングとearly endosome間のmembrane fusionに重要な役割を演じていると考えられた。 また、肝類洞内皮細胞のマンノースレセプターを介したendocytosisにおいてもマンノースを末端に持つ糖蛋白であるHRPを用いた検討を行い、類洞内皮細胞でのマンノースレセプターのリサイクリングにもvacuolar pHが重要な役割を演じていることが証明された。
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