研究概要 |
GALT(gut-associated lymphoid tissue)でのTcell migrationの調節機構につき、抗原因子としてLPS(lipopolysaccharide)、ホルモン因子としてVIP(vasoactive intstinal peptide)、SP(substance-P)を用い、その動態やリンパ球接着分子への影響を検討した。Wistar系雄性ラットの腸管リンパ液由来のTcellに蛍光色素CSFE(fluorochrome carboxyfluorescein diacetate succinimidylester)を標識後、静注し、パイエル板へのmigrationをin vivoの蛍光生体顕微鏡観察により検討した。LPSの腸間膜動脈への持続投与は、早期からリンパ球-パイエル板内皮interactionを促進することが示されたが(Am J Physiol 271:G282-G292,1996)、LPSとのincubationによりリンパ球接着分子発現は2時間のインキュベーションでは変化がなく、48時間でT cell上のLFA-1α、α4-integrinの発現強度はむしろ抑制されることが示された(第20回日本リンパ学会総会シンポジウム、1996.6/6-7)。また、VIPは動注投与のみならず10-_8-10-_9Mのin vitroでのインキュベーションを行ってもパイエル板へのmigrationを抑制すること、しかし、接着分子発現には影響しないことが示された(Lymphology29(suppl):168-171,1991)。SPは、migrationおよび接着分子発現とも影響しなかった。以上の成績は、抗原刺激やホルモンはGALTにおけるリンパ球動態に影響すること、リンパ球上の接着分子発現にも影響する可能性を示唆するが、これらの関連性についてはさらに検討する必要がある。
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