研究概要 |
平成8年6月より10月の期間に当院結核病棟に入院した肺結核患者のうち,入院時に喀痰,あるいは気管支鏡にて気管支洗浄液を採取し,通常の方法にて培養陽性を示した20例を対象とし,このコロニーより同定,DNAの抽出,薬剤耐性検査を行った. DNAは,Woodsらにより提唱されたfreeze-boiling techniqueを用い結核菌の細胞壁,細胞膜を壊しそのままPCR(plymerase chain reaction)を行ったものの良好なPCRの結果が得られず,今回は菌体1白金耳を採取しアセトン処理後,preteinaseKにて消化後,10%SDSにて処理,フェノール,クロロホルムにて結核菌のDNAの抽出を行った.本年度はrpoB,inhA,pncA遺伝子についてPCRに用いるプライマーを作製した.rpoB,inhA遺伝子についてはPCR-SSCP法を行った.得られたPCR産物は非変性ポリアクリルアミドゲルにて泳動を行い,その後,銀染色を行い,バンドを検出した.しかしこの方法にて泳動度に変化を認めた検体は認められなかった.PCR-SSCP法で異常なバンドを検出するには,泳動温度が最も重要な要素であり,今後の検討が望まれた.一方pncA遺伝子の点突然変異については,5症例につきThe GATC1500Direct Blotting Electrophoresis Systemを用いてPCR産物を直接,非放射線標識のDideoxy法にて塩基配列を決定した.その結果,5症例においては点突然変異は認められなかったものの良好な泳動像が得られており,今後はrpoB,inhA遺伝子についてもPCR-SSCP法よりも,PCR-direct-sequence法にて検討を行っていきたいと考えている.
|