研究課題/領域番号 |
08770452
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 亮一 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (00262444)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / スーパーオキシドジスムターゼ / 遺伝子変異 / フリーラジカル / プロテアーゼ |
研究概要 |
本研究ではCu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)遺伝子変異による運動ニューロンの変性メカニズムの解明を目標にし、本年度は、世界的に有名な筋萎縮性側索硬化症(ALS)多発地帯である紀伊半島のALS症例におけるSOD1変異の検索と、培養細胞を用いた変異SOD1蛋白の不安定性についての検討を行った。まず、紀伊半島のALSのSOD1変異の検索では、1例の家族性ALSと1例の孤発性ALSにおいて同一の変異(Ile113Thr変異)を発見した。Ile113Thr変異は紀伊半島以外の本邦の家族性あるいは孤発性ALSでは発見できず、正常コントロールにも認められなかった。今回変異を発見した2例のうちの1例は培検例であり、残存運動ニューロン内にニューロフィラメントの著明な蓄積を認めた。本例には神経原線維変化は認めなかったが、Ile113Thr変異の症例で神経原線維変化を伴う症例が報告されており、このことは紀伊半島のALSが病理学的に神経原線維変化を高率に伴うという特徴と類似し、Ile113Thr変異は紀伊半島地域で比較的高頻度に存在する変異である可能性があり注目される。また、平成7年度の科学研究費補助金による研究により、以前われわれが発見したAla4Thr変異SOD1は蛋白構造が不安定で、半減期が短縮していることを明らかにした。この不安定性が運動ニューロンの変性機構に深く関与している可能性があることから、今年度は、どのようなプロテアーゼが変異SOD1の崩壊に関与しているかを明らかにし、家族性ALSの治療法を開発する目的で実験を行った。遺伝子組替え技術を応用して、COS7細胞中に発現させたAle4ThrおよびIle113Thr変異SOD1の崩壊を各種プロテアーゼ阻害剤で阻止できるかをパルス・チェイス法を用いて検討したが、阻止効果は認められず、変異SOD1の崩壊はプロテアーゼ以外の機構で生じている可能性が考えられた。
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