研究概要 |
中脳初代培養血清奪取モデルによるアポトーシスを検討し,O-2A前駆細胞由来のアポトーシス抑制因子探索を行った.血清奪取により,死細胞は核の濃縮等アポトーシスの特徴を呈し,また,抽出したDNAは非ランダム断片化(laddering)していた.TdTによるin situ DNA断端標織によりアポトーシス細胞数を定量した.線条体神経,大脳皮質神経との比較では,中脳神経は他の神経細胞より12時間早くアポトーシスを起こしていた.TH染色とTdTによるDNA断端標織を同時に施行することによりドパミン神経のアポトーシスを確認した.calcein AM/ethidium homodimerを用いたviability assayとin situ DNA標識による定量の比較より,血清奪取モデルにおける神経細胞死は大部分がアポトーシスであることを確認した.中脳アポトーシスはoligodendrocyte type2 astrocyte(O-2A)前駆細胞及びグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)により抑制された.O-2A細胞,オリゴデンドロサイト,および,GDNF産生細胞(B49不死化細胞)を大量培養しmRNAを抽出した.精製したmRNAをdegenerate 6-mer oligonucleotideを用いて逆転写を行い,cDNAを得た後,複数のprimerの組み合わせにより複数のPCRを行いdifferential displayを行った.O-2A前駆細胞に特異的に出現するバンド,すなわち新しいアポトーシス抑制因子の可能性があるバンドが複数得られた.クローニング効率を上げるため,O-2A前駆細胞培養のバッチ間によるアポトーシス抑制効果の作用強度の違いとmRNAの発現強度を比較検討中である.新しいアポトーシス抑制因子のfragmentである可能性が高いバンドからクローニングを行い,塩基配列を決定し全長の塩基配列を探索する予定である.
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