研究概要 |
片頭痛の発作治療薬としてセロトニン受容体(5-HT_<1D>-like受容体)アゴニストのスマトリプタンが開発されている.その作用機序として,血管収縮作用およびtrigeminovascular theoryに基づく三叉神経終末からの神経ペプチドの放出に対する抑制作用などが重視されているが不明な点が多い.一方,片頭痛の発作時に血小板のセロトニン含有が減少していることが報告されて以来片頭痛の病態に血小板のセロトニン代謝異常が関係するとの知見が蓄積している.血小板はセロトニンの取り込み,貯蔵,放出,代謝などに関して中枢神経系のセロトニン作動性神経と共通した機構を有するため,中枢神経系のセロトニンの働きを研究する上で有用なモデルと思われる.そこで,片頭痛患者におけるセロトニン受容体を遺伝子レベルで研究することを目的とし,片頭痛患者におけるスマトリプタンの血小板機能に対する効果と血小板のセロトニン受容体の発現について現在検討している.片頭痛患者と群発頭痛患者から血小板を分離し,健常者群の血小板サンプルとでに対してADP(2μM),collagen(1μg/ml),PAF(1μM)に対する血小板凝集能を透光度法で測定した.同様の検討をsumatriptan(50μM),5-HT_<1D>-like receptor agonist methiothepin(50nM)の存在下で検討したが統計的に有意な差を認めていない.血小板の5-HT_<1D>-like receptor mRNAについては各群の血小板サンプルに対してtotal RNAをisothiocyanate/phenol/chroloform法で抽出すると同時に5-HT_<1D>-like receptorのoligonucleotide probeを作製し検討中である.
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