研究概要 |
本研究は心筋内の微小な血流分布のばらつきを可視化、定量化するために、分子血流マーカーであるdesmethylimipramine(desipramine,以下DMI)を用いて、I-125標識DMIを作成した。麻酔した家兎6頭の左室腔に右頚動脈から4Fカテーテルを挿入し、I-125標識DMIを20mCiづつ左室内に投与し、5分以内に開胸して、心臓を摘出した。摘出した心臓を左室短軸面で3断面に分離して凍結した後、Cryostatを使用して心外膜面に平行した20mm厚の凍結組織切片を作成した。Phosphor imager(digital autoradiography)を使用して組織切片上の放射能分布を高解像度で画像化した。冠動脈自動調節能を維持したchromonar非投与対照(n=3)では明らかな分布の不均一性を見いだせなかったが、chromonarを投与した最大冠血管拡張下の対象(n=3)では3-5mm毎に増減する集積のばらつきが認められた。集積のばらつきは最大2倍であった。心表面冠動脈から分岐する貫通動脈周囲に集積が高い傾向にあったが、得られた放射能分布と色素で染めた組織切片上の動脈内腔との対比が困難であり、今後emulsion autoradiographyを用いて両者を同一切片上で対比する必要がある。現在までのところ、γ線核種標識マイクロスフェアとI-125の同時投与時のcross-talkの補正が正確にできず、血流の定量化には至らなかった。
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