研究概要 |
本年度先天性ケトン体代謝異常症のβ-ケトチオラーゼ欠損症(T2欠損症),サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症,細胞質チオラーゼ(CT)欠損症および脂肪酸β酸化系異常症の極長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症について酵素診断,病態解析を行った.先天性ケトン体代謝異常症の患者スクリーニング:3疾患について,乳児期より重篤なケトーシス発作が繰り返す症例について,活性測定,蛋白解析を行ったが,オランダの症例がT2欠損症であると診断できたが,他の所を例では3疾患は否定された.SCOT欠損症の解析:SCOTcDNAのクローニング,染色体座位を決定し,また1例の遺伝子変異を同定してAm J Hum Genetに発表した.またcDNAを大腸菌で発現させ,精製して抗体を作成し,線維芽細胞やリンパ球を用いたイムノプロットを行い,診断に有用であることを明らかにし,Biochim Biophys Actaに発表した.現在SCOT遺伝子をクローニング中である.日本およびオランダの症例の遺伝子解析も現在進行中である.T2欠損症の解析:現在までに当教室で27例が本症と診断され,蛋白質遺伝子解析をおこなっている.本年度も解析が進み,25例で遺伝子変異を同定できた(うち5例は1方の変異のみ).これまでに解析してきた27例について追跡調査用紙を作成し,発送するところである.これをもとに遺伝子解析の結果と検討し遺伝子型/表現型の関係を明らかにする予定である.CT欠損症の解析:現在確立した方法は,免疫沈降を利用したものであるが,細胞分画法を採り入れ,さらに簡便な方法を確立した(投稿中).またT2,CT,SCOTがどの臓器,組織で発現しているかについてイムノプロット,ノーザンプロットを行い,ヒトにおける酵素の臓器分布を明らかにした(投稿中).VLCAD欠損症の解析:VLCAD欠損症と診断した3症例の遺伝子変異を同定した(論文作成中).
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