研究概要 |
汎発性膿疱性乾癬は、発熱、関節痛などの全身症状を伴い、全身に多発する膿疱を主体とする、原因不明の難治性皮膚疾患である。誘発因子として先行する上気道関節症状が見られる症例が多いこと、HLA-A2との相関が報告されていることなどから、発症の原因として、免疫学的メカニズムの役割が注目されているが、詳細な機序は明らかにされていない。細菌由来のスーパー抗原が、Tリンパ球、単球、表皮角化細胞を活性化することにより、膿疱性乾癬の発症のトリガーとして働いている可能性について検討した。 1)膿疱性乾癬患者末梢血から単核球分画を分離し、SEA, SEB, PHAに対する増殖反応をinvitroにおいて検討した。膿疱性乾癬患者由来の末梢血単核球では、正常人由来末梢血単核球と比較検討して、有意に高い反応性が認められた。 2) SEA, SEBなどのスーパー抗原、あるいは、LPSなどのmitogen刺激によって、末梢血単核球は、IL-1β, IL-8, TNF-αなどのサイトカイン産生の亢進が認められた。さらに、これらのサイトカインは、ヒト皮膚由来の血管内皮細胞に加えることによって、ICAM-1, ELAM-1などの細胞接着分子の発現亢進を引き起こした。 3)膿疱性乾癬の病変部皮膚組織において、ICAM-1, ELAM-1の発現亢進が認められた。 以上の結果から、膿疱性乾癬患者では、何らかの刺激によって、末梢血単核球が活性化され、それに伴って産生、放出されるサイトカインが、皮膚結果内皮細胞を刺激し、細胞接着分子の発現亢進が起こり、皮膚病変形成に関与していると考えられた。
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