研究概要 |
マウス背部に切開創を作製し,経時的に組織標本を採取して,表皮細胞間接着分子であるE-カドヘリン,デスモグレイン,プラコグロビンのモノクローナル抗体を用いた免疫染色を行なった。 その結果,検索した接着分子は全て,創傷作製から3日間は,接着分子の発現がみとめられなかったが,その後徐々に発現が強くなり,創傷作製から7〜10日後には正常表皮とほぼ同様の発現を示していた。 これは創傷治癒過程のなかの表皮形成が始まる時期からは,少し遅れているが,1層の表皮細胞層から多層の表皮を形成していく時期とはほぼ一致しており,標本採取時に行なったH&E染色の所見でも多層細胞からなる表皮が観察される時期と一致している。 これらのことから,表皮間細胞接着分子は創傷に多層の細胞からなる成熟した表皮のシート構造を形成する段階に関与する可能性があると考えられる。
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