研究概要 |
Nitric Oxide(NO)は、ラジカルな化合物で、NO synthaseにより生成され、現在3種類のアイソフォームが確認されている。特にiNOSは、炎症などで誘発されるが、皮膚における働きについては報告は少ない。我々は、皮膚での炎症にもNOが関与する可能性を考え、検索を行った。まず始めに、ヒト正常表皮におけるNOSの局在の有無について、3種類のポリクローナル抗体を用いてlmmunochemisthistryにて検索した。その結果、正常表皮で最も強く発現していたのはeNOSで、特に表皮上層に強く発現していた。bNOS,iNOSは表皮細胞での発現を認めず、bNOSのみエックリン管、神経細胞での発現を認めた。iNOSは、通常炎症等により誘発されるとの報告が多いため、正常皮膚より採取したkeratinocyteを無血清、低Ca培養液にて培養後、炎症モデルとしてUVB及び低出力レーザーを照射し、Nitrite AssayにてNOを測定した。経時的に24時間測定したところ、8時間後でそれぞれ2〜5μl/mlのNO活性が認められたものの、コントロールとの明らかな有意さはなかった。さらに、UVB照射後にkeratinocyteよりiNOSのm-RNAを抽出し、RT-PCR法により検討した。しかし、同様に明らかなiNOSのPCR産物を検出する事はできなかった。
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