研究概要 |
1.対象と方法 頭頸部扁平上皮癌37例(1991-)についてP53変異の有無を調べた.このうち17例が根治照射を,20例は術前照射を受けた.平均観察期間は17カ月であった.P53変異の検出はPCR-SSCP法を34例に用い,yeast assayを5例に用いた(2例では両方). yeast assayは,sampleのP53 DNAを酵母のDNAに導入し,sample由来のP53が機能するか否か(mutationがあるかないか)を酵母の色の変化で検出するという比較的簡便な方法である(A simple p53 functional assey for screening cell lines, blood, and tumors. Flamen et al. Proc Natl Acad Sci USA 92 : 3963-3967, 1995).照射効果は術前照射例でも評価可能とするため40Gy/16回時点の縮小率(腫瘍2方向計測値の積)で検討し4段階に評価した(very good≧75%, good 75-50%, moderate 50-25%, poor 25%≦). 2、結果 37例中12例(32.4%)に変異が認められた.原発部位,T stage,分化度と変異率の間には明らかな関係は認めなかった.P53変異の有無と40Gy時点での腫瘍の縮小率はP53の変異がない12症例ではvery good 9%, good 46%, moderate 36%, poor 9%であり変異があった25症例ではそれぞれ26%,17%,52%,4%であった.極めて良好な縮小(very good)を示した割合が,変異のない群で高い傾向がみられた.局所再発は変異が無い25症例中13例にみられ,変異があった12例中2例に認めた。 3、結論 P53の変異は局所再発のrisk factorとはいえず、変異が無いことがrisk factorとも言える結果であった。
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