研究課題/領域番号 |
08770706
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高橋 健夫 群馬大学, 医学部, 助手 (70241883)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | アポトーシス / 放射線 / 照射効果 / 放射線抵抗性 / 分子生物学 / DNA断片 |
研究概要 |
細胞死の機構の一つとしてアポトーシスが重要であることが明らかになり、その分子生物学的な機構も理解されつつある。癌治療においてこのアポトーシスをいかに癌細胞に誘導できるかはとても重要と考えられる。今年度は放射線抵抗性細胞に対し、抗癌剤を併用することでアポトーシスが誘導できるか、また細胞致死効果が顕著に増強するかどうかについて検討したので報告する。 細胞は当科で樹立した放射線感受性株であるNMT-1とこの細胞より得られた放射線抵抗性株のNMT-1Rを使用した。併用する抗癌剤はエトポシドを用いた。エトポシドに対する効果はIC50でみると放射線抵抗性細胞NMT-1Rの方が4倍大きく抵抗性であった。エトポシド単独処理3時間、6時間後にそれぞれの細胞株でG2Mブロックが認められたが、照射同時、照射の前後(3、6時間)にエトポシドを併用しても細胞生残率に差異は見られず、投与時期は併用効果に影響しなかった。照射と同時にエトポシドを併用した場合、放射線感受性細胞NMT-1では相加効果のみであったが、放射線抵抗性細胞NMT-1Rでは相乗効果が認められた。このことからエトポシドは放射線抵抗性細胞に併用するのが有効であると考えられた。特に細胞生残率曲線の肩が消失し、併用24時間後にDNA断片の増加が認められた。NMT-1Rは放射線単独ではアポトーシスは出現しないが、今回の検討で照射エトポシド併用でアポトーシスが出現し、細胞致死効果の相乗作用が見られることが確認された。 放射線抵抗性細胞において放射線と抗癌剤の相乗効果にはアポトーシスが関与していることが明かとなり、癌治療においてアポトーシスが重要な役割を担っていることが今年度の研究から示唆された。今後さらに他の薬剤についても検討し、より高率にアポトーシスを誘導し癌の治療効果を高める効率のよい方法を検討する必要がある。
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