研究概要 |
今回我々は、正常ボランティア8名を対象にGE社SIGNA 1.5T MRI装置(既設)を用いてfunctional MRIを行った。使用シーケンスはMRI超高速撮像法であるEPI法(gradient echo type echo planar imaging ; TR/TE=3000/50,Flip Angle90°,Matrix 128×128,FOV 240mm,Slice thickness 5mm)で、撮像には5インチのsurface coilを使用した。後頭葉鳥距溝を含む3断面を設定し、102シリーズ(306枚)の画像を5分間で撮像した。負荷として、パーソナルコンピュータにおいて作成した映像を、ビデオプロジェクターにてガントリ-入り口に設置したスクリーンに投影し、光刺激を行った。被検者はプリズム眼鏡を介して、スクリーンに投影された映像を見た。映像のon,offは30秒間隔とし、functional MRIのサンプリングに同期させた。得られた画像を画像解析用コンピューターに転送した。このコンピューター上で画像解析ソフトを用い、負荷に対する信号強度変化をフーリエ変換し、負荷のon,offの周期と同じ周波数成分を有するピクセルのみから画像を再構成した。また、この周波数成分からさらに位相情報を抽出し、より正確なの反応領域の同定を行った。正常ボランティア8名全例で、光刺激に同期する信号上昇が一次視覚野(V1)を中心に同定された。また、位相処理画像からは、一次視覚野から周囲に拡散する信号変化が認められた。超高速撮像法であるEPI法を用いることで、比較的短時間に安定した脳機能画像を得ることが確認された。今後、様々な視覚心理学的映像刺激を用いることで、さらに高次脳機能の解明が期待される。
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