本研究の成果は、臨床画像と病理組織像との対比によるものと、各種臨床画像のワークステーションを用いた画像解析の2点からなる。 1.臨床画像と病理組織像との対比 まず、高分解能CT像で見られる小葉内網状影の成因について検討した。その結果従来間質性変化を代表する所見と思われていた網状影が、純粋な肺胞性のプロセスのみでも生じうることを明らかにした。また、この陰影の成因に関与すると考えられていた小葉隔壁の肥厚が全く見られないものがあることも併せて明らかとなった。次に組織学的な顕微鏡的蜂巣肺を反映する高分解能CT像について検討した。小葉内網状影、胸膜直下の板状影等の7種類の所見が組織学的な顕微鏡的蜂巣肺に相当する高分解能CT像であることが判明した。 2.各種臨床画像のワークステーションを用いた画像解析 この分野では、昨年より行っている高分解能CT像で見られるスリガラス状陰影に対して、fractional-Brownian motion modelを用いたFractal解析をさらに進め、求められた次元が組織学的な重症度と相関することを明らかにした。組織像との対比から次元のは局所の含気が低下するほど大きくなる傾向も認められた。また吸気・呼気のヘリカルCTの解析より蜂巣肺を構成する嚢胞には呼気時に大きさが変化するものとしないものがあることを見出した。ワークステーションで作成した再構成3次元画像より前者は気道の末端に位置し、後者は気道との関係がはっきりしないことがわかった。これらの所見は病理組織像でも裏付けされた。
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