原発性肝癌の診断として超音波検査は重要な役割を果たしてきたが、CT、MRIに比べて造影剤が存在しないという欠点をもっていた。しかし、1984年頃より経動脈的な二酸化炭素を用いた造影エコーが徐々に行われるようになってきたが、二酸化炭素の溶解度が高いため、短時間しか検査できないという欠点をもっていた。そこで我々は、潜函病の治療に用いられ、二酸化炭素より溶解度の低いヘリウムガスを用いて造影エコーができないかと考え、この研究を開始した。 ニュージーランドホワイトラビット30尾を使用しその有用性と安全性のを検討した。具体的には、透視下で実験動物の肝臓にヘリウムガスを注入しその安全性を確認した後VX2等の移植腫瘍を使用し、腫瘍の内部にどのくらいの時間ヘリウムガスがとどまるか検討した。 その結果ヘリウムガスは0.1ml/kgまでは胃、肝臓、膵臓に組織学的は変化は認められず、またヘリウムガスは二酸化炭素に比べ腫瘍に約4倍長くとどまることがわかった。その為結果を熊大倫理委員会に提出し、使用許可を得たため臨床例への使用を検討中である。
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