患者の生理的移動を定量的に考慮した上で標的容積を作成し、治療計画を行った。同時に動きに対する照射方向の最適化を行った。まず、超高速CTなどを使い、心拍や呼吸などによる標的容積輪郭を中間呼気時のCD画像にマッピングし、得られた輪郭を重ね合わせて新たな標的容積を得る。結果として標的容積は生理的可動範囲に拡張される。上記のアルゴリズムを実現するために、2つの標的容積を合成する機能が必要となるが、3次元治療計画機でCT画像上に両極大値のターゲットを表示させることにより、この問題は容易に解決できた。合成表示により、3次元空間内での標的の移動方向が明らかとなるため、治療計画の際に最適な方向から照射を行うことができるようになった。これにより、標的容積の移動による照射野からの逸脱を最小限に抑えることができ、3次元的な治療の最適化を従来よりも有効に行うことができるようになった。通常の放射線治療計画時には、生理的な動きはやや大きめの標的容積を作成することによりカバーされている。しかし実際に移動する範囲は確認できておらず、標的容積が照射野から逸脱する状況も有り得たと思われる。4次元画像情報を用いることによって従来のあいまいさは消失し、照射を要する最低限の容積を正確に知ることができるようになった。また、標的容積が移動する方向から照射することが可能な場合には動きを考慮した最適化が有効となることがわかった。
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