研究概要 |
1.フェニルエタノールアミンN-メチル基転移酵素(PNMT)阻害薬の脳内ノルアドレナリン系に及ぼす影響 うつ病で異常が報告されている脳内アドレナリン系が脳内ノルアドレナリン系にどのような影響を及ぼすか検討するために、アドレナリンの合成酵素阻害薬(PNMT)をラットに投与して脳内ノルアドレナリン系を反映する指標がどのように変化するかを検討した。指標としてはラットの自発運動量、クロニジン(ノルアドレナリンα2受容体作動薬)による成長ホルモン反応性(クロニジン負荷試験)、マイクロダイアリシスによる脳内ノルアドレナリンの代謝産物MHPGの遊離測定を用いた。PNMT阻害薬としてDCMB、CGS、SKF64139などを用いたところ、それぞれの薬物のα2受容体阻害活性と無関係に上述の指標が変化することが明らかとなった。このことから、脳内アドレナリン系が脳内ノルアドレナリン系を制御している可能性を示し、1996年メルボルンでの国際精神経薬理学会にて報告し、またneuropsychobiology誌に報告した(kubota,1996,Atobe,1996). 2.アンチセンス核酸のPNMT阻害作用の検討 アンチセンス核酸のPNMT阻害作用を検討するために、本年度はPNMT活性の中枢での測定法確定を試みた。脳内(視床下部)PNMT活性は副腎と比較して極端に低活性で通常の測定方法では検出できない。このため、抽出段階を2段階として、さらに減圧乾固をおこなう方法の確立を目指している。
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