研究課題/領域番号 |
08770824
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
塩井 淳 大阪市立大学, 医学部, 助手 (90260801)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 血管石灰化 / 動脈硬化 / 副甲状腺ホルモン関連ペプチド / ナトリウム依存性リン輸送体 |
研究概要 |
1.石灰化におけるPTHrPの発現調節機序に関する検討 この実験系では局所の無機リン濃度の上昇が石灰化の誘導に関与している可能性が考えられることから、medium中の無機リン濃度がPTHrP遺伝子・蛋白の発現に及ぼす影響を検討した。培養液中の無機リン濃度を0.5-2.0mMの範囲で変化させたところ、PTHrPの遺伝子発現は濃度依存的に減少し、2.0mMでは約50%にまで低下させた。また、PTHrP蛋白の分泌量も同様に濃度依存的に減少し、2.0mMでは約60%まで低下した。したがって、PTHrPの発現は、細胞外無機リン濃度により直接調節されている可能性が示唆された。 次に、細胞外無機リン濃度によるPTHrPの発現調節機序に細胞内へのリン輸送が関与しているかどうかについて検討した。細胞外リン濃度を0.125-2.0mMまで変化させたところ、濃度依存的に細胞内へのリン輸送は増加した。また、リン輸送体の阻害剤であるphosphonoformic acid (PFA)(0.1-1.0mM)は、用量依存的にリン輸送を阻害し、1.0mMで70%までリン輸送は低下させた。そこで、1mM PFA存在下でPTHrPの分泌を検討したところ、細胞外無機リン濃度の上昇により低下したPTHrP分泌は、PFA添加によりコントロールレベルまで増加した。 以上より、細胞外無機リンによるPTHrP発現機序に細胞内へのリン輸送が関与している可能性が示唆された。 2.PTHrPの石灰化抑制機序に関する検討 ヒトPTHrP(1-34)およびヒトPTH(1-34)がBVSMCによる石灰化を抑制することから、その機序について検討した。PKAおよびPKCの阻害剤を用いていずれの経路がPTHrPの石灰化抑制作用に関与しているかについて検討した。PKAおよびPKCの阻害剤であるH89(0.1 μM)およびcalphostin C(50μM)・chelerythrin chloride(1 μM)は、いずれもヒトPTHrP(1-34)による石灰化抑制作用を完全に阻害した。したがって、PTHrPの石灰化抑制作用にPKAおよびPKCの両者が関与している可能性が示唆された。
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