研究概要 |
1.対象細胞 骨芽細胞系のcell lineでfibroblast様の形態を持ち、vitamin Dで刺激すると分化誘導され、敷石状になる細胞を検討した。HuO9,OST1,ROS17/2.8の3種類の細胞を培養した。このうち我々が入手したOST1はvitamin Dで刺激する前からすでに敷石状の形態をとっていたため、HuO9,ROS17/2.8を対象細胞とした。 2.分化誘導における形態変化 10nM活性型vitamin Dを添加し、位相差顕微鏡で細胞形態の変化を観察した。ROS17/2.8細胞は3日目から敷石状に徐々に変化した。しかしHuO9細胞は増殖が極めて速く、また重層化が顕著であったため、この細胞の形態の変化は断定しえなかった。 3.分化誘導におけるHSPの発現 10nM活性型vitamin Dを添加し、3日後にtotal RNA、タンパクを抽出した。total RNAはノザンブロッテイングの後、R.Morimotoから提供を受けたHSP70cDNA、および理化学研究所から分譲されたHSP90cDNAより作成したプローブでハイブリダイズを行った。分化誘導したHuO9細胞ではHSP70mRNA量の低下を認めた。ROS17/2.8細胞はノザンブロッテイングでの解析では検出できなかった。また抽出したタンパクをSDSPAGEの後、ウエスタンブロッテイングを行い、ヒトHSP70,90に特異的な抗体(ストレスジェン社から購入)を用いECL法で描出した。HuO9細胞、ROS17/2.8細胞ともに、HSP72蛋白量の低下を認めた。 4.酸化ストレスによるHSPの発現 分化誘導した細胞と誘導前の細胞にBSO,AAPHを添加しHSP72蛋白量の変化を検討した。BSOで軽度にHSP72蛋白量が増加した。
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