研究概要 |
96年度の研究により、von Gierke病患者のglucose-6-phosphatase遺伝子に点変異(G727T)を同定し、これが日本人に多い変異であることを明らかにした。また、制限酵素多型を利用したG727T変異の簡便な検出法を開発し、von Gierke病のDNA診断と患者家系での無症候性キャリアーの判定を可能にした。 von Gierke病2家系3例の患者を対象とした。S家系の患者1,3は兄弟例で、両親はいとこであった。患者2のM家系にも同様の血族結婚があった。 患者1のG6Pase遺伝子の5つのエクソンとエクソン-イントロン接合部の全塩基配列を解析し、727番目の塩基がGからTへと点変異(G727T)していることを同定した。また、患者2の塩基配列の結果も同一の点変異であった。ミスマッチを導入したプライマーを用いたPCR産物の制限酵素多型を利用して患者を分析すると、3例すべてがG727T変異のホモ接合体であった。2家系の患者以外の家族は無症候であったが、両親はいずれもT727T変異のヘテロ接合体であり、S家系の兄はヘテロ接合体であった。また、216人の健常人をスクリーニングしたところ、ヘテロ接合体が一例見つかった。 von Gierke病患者3例が同じ点変異のホモ接合体であり、また健常人にもキャリアーを認めたことからG727T変異は日本人に多い変異でああると考えられた。 以上の成果は、現在英文誌に印刷中である。
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