研究概要 |
近年、間質細胞と造血前駆細胞を共培養する長期培養法において観察されるコブルストーン形成細胞(cobble stone area forming cells:CAFC)は、一般のコロニー形成法によるコロニー形成細胞(colony forming cell:CFC)より未分化な前駆細胞の数を反映することが報告された。しかし、CAFCにおいても、従来より同じく未分化な前駆細胞を示すとされるLTC-IC(long-term culture initiating cell)においても細胞希釈でのlimiting dilution法を用いた間接的手法であった。今回、より直接的手法として1つの支持細胞に1つの造血細胞を入れて共培養するsingle cell clone sorting systemを用いて検討を行った。 1.一般のコロニー形成細胞より未分化な造血前駆細胞のdirect assay法の検討 96well plateに作成した支持細胞層にCD34抗原陽性の造血前駆細胞を含む分画より、FACSを用いて各々1個の細胞をsortingし、5週間長期培養を施行した。その時点で形成されたCAFC陽性wellの数を確認し、また、このwellより寒天培地に移した後形成されるCFC(CFU-GM,BFU-Eなど)のの相関を検討した。結果として、ばらつきはあるもののCAFCとCFCの比は、従来報告されているLTC-ICとCFCの比にほぼ近似した値となった。これにより、本法にみられるCFACはLTC-ICとほぼ同等の位置づけにあることが確認され、CAFC陽性wellの算定による直接的assayとして本法が有用と思われた。 2.検体種別によるCAFC増殖能の検討 骨髄血、臍帯血において上記のassayを行い,CAFC陽性wellにおいて臍帯血のほうがCAFC絶対数が多い傾向にあったが、今後種々の検体に対しより詳細な検討を行う予定である。
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